たまごは1日1個まで説の真偽 | 料理初心者 | 初めての料理

たまごは1日1個まで説の真偽

昔からたまごは1日に1個までと言い聞かされて来なかったでしょうか。

これは、たまごに含有している成分を過剰に摂取してはいけないなど、何かしらの理由があるということでしょうか。

また、現代においても、1日1個説は変わらない事実なのでしょうか。

 

たまごに含有している成分

たまごは完全栄養食品と呼ばれ、ビタミンCと食物繊維を除くほとんどの栄養素が含まれています。

人の体内で作ることのできない8種類のアミノ酸を含むだけでなく、良質なたんぱく質を含んでいる優れた食品とされています。

しかし一方で、コレステロールが多いことや飼料に添加されているホルモン剤や抗生物質などの安全性が疑われていました。

 

1日1個説

ところで、真偽の前に、なぜ一日一個とされていたのでしょうか。

二個ではいけなかったのでしょうか。また反対に、なぜ一個までなら良かったと考えられたのでしょうか。

これは、たまごのコレステロール値によるものだと考えられます。

100gあたりのコレステロール値は卵黄が1400mg,卵白1mgとなっているので、ここでは卵黄で計算してみたいと思います。

卵黄の重さはたまごのサイズに拘らず約20gで計算しています。

すると、たまご一個当たり280mg(ガイドラインでは約250mgとされています)のコレステロールを含むことになりますが、当時のコレステロール摂取基準として男性750mg以下/日、女性600mg以下/日とされていたようです。

つまり卵を二個食べるだけで摂取限度に大幅に近づくことが問題となっていたため、一日一個説があったようです。

このことは「長寿のための コレステロール ガイドライン(2010 年版)日本脂質栄養学会 コレステロール ガイドライン策定委員会」から見てとれます。

 

この説は継続か廃止か

そもそもコレステロールは体内で合成できる脂質であり、食事性コレステロール(口から摂取したコレステロール)は体内で作られるコレステロールの3分の1~7分の1を占めるに過ぎないということです。

さらに、コレステロールを多く摂取すると肝臓でコレステロール合成は減少し、逆に少ない摂取だとコレステロール合成は増加するといいます。

つまり、コレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではないということが分かっているのです。

これにより、2015年度版の日本人食事摂取基準ではコレステロール基準値が無くなりました。

参照URL:

No.072  日本人の食事摂取基準(2015年版)について

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書

 

たまごは卵黄部に多量のコレステロールを含んでいたため、当時は摂取制限が必要と考えられていたようです。

しかし、現代では食事性コレステロールは、血中の総コレステロール値とは関係がないと分かったことから、これを単体で問題視することが無くなったようです。

とはいえ、やはり過剰摂取は控えたほうが良いでしょう。

従来のような一日一個までしか卵を食べてはいけない、という説が訂正されたに過ぎません。

 

 

  • 関連記事

    魚DHA

    魚を食べると頭が良くなるって本当?

    「さかなさかなさかなーさかなーをたべーるとー♪」 魚を食べると頭が良くなるという有名な曲は皆さんご存知の通りだと思います。 でもこれって、科学的に証明されているのでしょうか。 DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳にとって極め… もっと読む »

    食中毒の危険。鶏生肉は要注意!

    鶏肉は家庭でも頻繁に利用する食材ですが、扱い方を間違えると大変危険な食材となります。 これから料理を始めて行こうとしている料理初心者の方は本内容を理解し、実践していくことをおすすめします。   鶏肉の何が危険な… もっと読む »

    甘酒

    飲む点滴?!甘酒の効果と作り方

    甘酒は飲む点滴と言われるほど身体に良いものです。先日、テレビ番組でも現役医師の9割以上が摂取に賛成していました。 私自身も家庭で是非取り組みたいと思いました!   甘酒と聞くと、正月に飲む甘い『お酒』というイメ… もっと読む »

    油の酸化と再利用について注意しましょう。

    揚げ物料理などで残った大量の油などは再利用しているでしょうか。それとも破棄しているでしょうか。 ここでは油の酸化についての基本的な知識を身につけ、実際に料理する上で気を付けていきたいことをまとめています。 まず最初に、油… もっと読む »

    がん予防のための食事

    ここでは、米国対がん協会(American Cancer Society)が2012年に公表した「がん予防のための栄養と運動に関する米国対がん協会ガイドライン」に基づいてまとめています。 このガイドラインによると、現代で… もっと読む »

    がん予防のための食事

    ここでは、米国対がん協会(American Cancer Society)が2012年に公表した「がん予防のための栄養と運動に関する米国対がん協会ガイドライン」に基づいてまとめています。 このガイドラインによると、現代で… もっと読む »

    買ってきた卵の正しい保存方法。

    先日、妻にダメ!と注意されたのが卵の保存方法でした。家庭用冷蔵庫にはプラスチック製の卵ケースが標準で付いていると思います。もちろん、我が家にもこれが付いているのですが、そこに卵を置くときに注意しなければならないというので… もっと読む »

    料理前には必ず手洗いを。細菌は手にあり!

    これから料理を始めていく上で、最初に気をつけてほしいことが衛生面です。 どんなにおいしい料理を作っても、その料理でお腹を壊していては元も子もありません。 料理初心者の方がついつい飛ばしてしまう工程でもありますので気をつけ… もっと読む »

    野菜の保存方法。冷蔵庫に入れる?入れない?

    買ってきた野菜を何でも冷蔵庫へ入れてしまってはいないでしょうか。 野菜や果物は、種類によって最適な温度が異なります。 中には、冷やしすぎることで傷んでしまう、低温障害が起きてしまうものもあります。 常温で保存できるもの、… もっと読む »

    料理初心者の用意すべき必須調理道具

    今から料理を始めようと思っている料理初心者の方に、用意してもらいたい必須調理道具を紹介します。 ここに書かれているものは使用頻度の高いものばかりで必ず用意したほうが良い調理道具になります。 どれも長持ちするものばかりで、… もっと読む »