焦げた部分は体によくないから食べないようにと言い聞かされてこなかったでしょうか。
焦げた部分は発癌性物質が含まれているという理由から、このように焦げ目を避けることは皆さんの中でも常識となっていたと思います。
しかし、2011年に国立がん研究センターは「がんを防ぐための12か条」を実に30年ぶりに改訂しました。
日本人を対象とした疫学調査や現時点で科学的に妥当な研究方法で明らかとされる証拠をもとに改訂されました。
この改訂に伴い、従来あった「焦げた部分は避ける」の項目が無くなりました。
焦げた食べ物では癌にならないのか
そこで気になることといえば、従来の内容は誤りだったのかということです。
肉や魚にはアミノ酸が含まれているのですが、このアミノ酸に熱を加えることで、ヘテロサイクリックアミンという化合物が作られます。
ラットによる動物実験では焦げを食べさせ続けても癌にはならなかったそうですが、化学合成したヘテロサイクリックアミンを食べさせ続けた結果、癌になったことから12か条に含まれたそうです。
焦げた食べ物は食べていい?
上述した通り、肉や魚の焦げた部分には発がん性物質が含まれていますが、極めて少量です。
実験を行った研究者によると、焼き魚の皮や焼肉の焦げで発ガンするには秋刀魚なら2万匹も食べる必要があるそうです。これを計算してみると、3食焦げた秋刀魚を食べたとしても15年以上かかりそうです。
さらに人の細胞が焦げによって発ガンする可能性はラットの10分の1程度でしかないという実験結果もでているようです。
つまり、焦げた食べ物は発がん性物質を含んではいますが、極めて神経質に考える必要もないようです。
しかし、WHO(世界保健機関)およびIARC(国際がん研究機関)は2003・2004年時点で癌のリスクをあげるものとして上述しているヘテロサイクリックアミンを取り上げていることにも注意しておきたいです。
焦げについては故意に摂取することなく、気をつける程度に心がけていきましょう。
癌リスクを下げるにはバランスのよい食事を
焦げによる癌リスクについては、少ないながらも発がん性物質を含んでいたため無理に摂取することは避けるのが良いと考えました。
過剰摂取によって癌のリスクを上げる可能性のある成分などは報告されていますが、一方で、これを摂取すれば確実に癌リスクを下げるという単一の食品や栄養素は発見されていません。
このため、バランスよく食事を取ることがリスク分散の原則とされています。
食事は偏らずにバランスよくとること、塩分を摂りすぎないこと、そして野菜・果物不足にならないようにすること、飲食物を熱い状態でとらないことなど、癌リスクを下げる取り組みとして薦められています。
料理をする時にはバランスを考え、偏った食事にならないように注意していきましょう。